最適なパソコン用キーボードの探しというのは、終わりがありません。
その時の作業環境の変化や身体の変化など、その時々に必要なキーボードって異なるんだよっていう話をしたいと思います。
HHKBを買えば全て終わりだと思っていた
HHKB、正式名称をHappy Hacking Keyboardといいます。
プログラマのために開発されたと言っても過言ではないキーボードです。
全ての操作をキーボードで完結するべく開発されたものです。
US配列(2のキーに@が配置されているやつ)は矢印キーが無かったりします(Fnキーを別のキーを併せて押してカーソル移動が可能です)。
マニアックな話をすると、「静電容量無接点方式」という、ものすご〜く端折るとものすごく耐久性もいいし打ち心地も良いというキーボードなんです。
どのような打ち心地かと言いますと、これがまあ独特な感触でして、クセになります。
そして長い時間タイピングしても指が疲れないという利点も相まって、根強い人気とコアなファンがいる、そんなキーボードです。
キーボード探しの旅を最短距離と最短時間で終わらせたい
究極のキーボード論争というのは長い間ネット(の一部)を騒がせている話題でした。
もちろんHHKBも究極のキーボードの選択肢上位に来るものでした。
私は単純に「キーボード探しの沼に沈む前に、究極を購入すれば解決する!」と信じてHHKB Hybrid Type-Sを購入しました。
確か2021年くらいだったと思います。見た目重視でUS配列を購入しました。
今までJIS配列しか使ってきてなかったのに。
そこから試行錯誤をしつつ、約3年ほど使ってきていました。
急転直下で訪れる障壁
そんなHHKBとの蜜月を過ごしてきたのですが、2024年に入ってから、ある悩みが発生します。
そう、肩こりです。
HHKBはコンパクトであるが故に、あえて大げさに表現すると、肩をすぼめてタイピングをしなければいけません。
人間の体の構造上、どうしても不自然になってしまうんです。
この不自然な体勢を常に取らなくてはいけないのです。
先述した通り、コンパクトな筐体による唯一のデメリットだったりします。
2024年に入ってからHHKBで連続してタイピングし続けられる時間が、1時間、40分、20分、10分と短くなっていきました。
なぜかと言うと先述した通り、肩こりが発生するからです。
私、35歳くらいまで肩こりと無縁の生活を送ってきておりました。
ですが加齢とともに肩こりの悪魔がヒタヒタを近づいてき、とうとう私の肩に張り付いて痛めつけるようになったのです。
この状態でさまざまな業務を行うのは厳しい。
2024年2月くらいには、タイピング時に痛いとも言える肩こりが発生したら2時間は横にならないと回復しないところまで来てしましました。
このままでは非常にまずいと思ったのです。
仕事はおろか、日常でのパソコン作業でも支障が出てしまうのは火を見るより明らかでした。
やっぱりキーボード探しの旅に出なきゃダメ?
というわけで、38歳にしてキーボード探しの旅に出ることになりました(なんかのRPGは14歳で旅に出てたと思います)。
探すにあたっての条件は以下を考えました。
- 肩に負担がかからない(できる限り肩こりの発生を抑えられるものがいい)
- US配列であること(見た目スタイリッシュでカッコいいから)
- タイピング音が静かであること(オンラインMTGでタイピング音を拾わないようにしたい)
- 無線接続が可能(接続がラクだから)
これらの条件に合うキーボードを探す旅の始まりです。
そこで候補に挙がったキーボードたち
旅の過程は端折りますが、最終的にKeychronという香港のメーカーのキーボード2種類に絞りました。
Keychronについては以下のリンクから確認できます。
「こいつ、イイな!」と数年前から世間を騒がせているメーカーです。
候補その1:Keychron Q8 Pro
とにかく見た目的に変わっています。
カタカナの「ハ」を180度回転させたような形の配列を「Alice配列」を呼ぶそうです。
キーボードの配列そのものはUS配列です。
軸と呼ばれる、タイピング音や感触を左右する部品についても、赤軸というタイピング音が静かなものが選択できるので良し、見た目も白が基調でかわいいくて今のデスクに合う。
そしてBluetooth接続も出来る!
おまけに今(購入当時)はセール中だ、安く買えるぜ!!
というわけで購入を決めました。
後から専用のパームレストも購入しました。
ちなみにキーボードもパームレストも発送元は中国でしたので、航空便で来ました。
なぜか後に購入したパームレストの方が先に届きました。
まあただの木の板だからね。
到着直前に気付いた事実
到着を今か今かと待っていた時、ふと頭によぎったことがありました。
「技適通ってたっけ…?」
技適については以下のリンクを参照してください。
技適を管轄している総務省のサイトより分かりやすいかもしれません。
簡単にいうと、Bluetoothといった無線機器を利用する場合は、技適が通ってないといけないのです。
技適が通ってない製品を無許可で使用するのはホントに犯罪になります(期間を区切った実験的な用途であれば届出を出すことを条件にOKとなっています)。
技適が通っているかどうかは、総務省のWebサイトで確認できます。早速調べてみました。
調べ方は、以下のリンクから「氏名または名称」に製品名を入力するだけで分かります。
うん、通ってない!
つまりはBluetoothで接続ができないことがわかりました。
「仕方ねえ、有線で使うか…」となったのでした。
条件の一つを外してしまいましたが、クリティカルな問題ではないので、まあOKとすることにしました。
というわけで到着
パームレストが届いてから数日後、待望のキーボードが届きました。
海外配送らしく、外装は袋に入れられてテープでぐるぐる巻きと、ガサツでしたが中はエアキャップでしっかりと包まれていましたので良かったです。
箱思い切り凹んで破れてたけどな。
開封して接続しました。
虹色にLEDライトがビカビカ点滅するように光りました。
とりあえず虹色ビカビカ点滅はいらんので、設定で白色に点滅せずに光るようにしました。
それと、なぜかCmdキーを打つと一緒にEのキーが発動する不具合にも遭遇しましたけど、ファームウェアの初期化でなんとかしました。
そんなことを乗り越えつつ、しばらく使ってみたのですが二つの不満が出てきました。
不満点その1:ミスタイプがものすごく多い
これはAlice配列の特徴である、ハの字を180度回転させた配列どうしても慣れないです。
身体の構造的な話をしますと、手首に優しいのはキーボードと平行にするのではなく、Alice配列のように少し斜めに手首を置くのが、最も優しい体勢になります。
ですが、今まで斜めに配置されているキーボードを扱ったことがないので、Uキーを押そうとしてYキーを押してしまうことが頻発したのです。
理由は単純で、手の感覚がまっすぐ並んだキーボードに慣れすぎていて、いつものような感覚でタイプをするとミスタイプをしてしまうためです。
それとキーの配置的な話をすると、HHKBはEnterキーの上に Backspaceキーがあるのですが、Kyechronは¥キーが配置されています。
ミスタイプして、消そうと思ったらBackspaceキーも打ち間違えて「¥¥¥¥¥¥…」となる。
よりストレスが溜まることが非常に多かったです。
不満点その2:思ったほど肩こりの発生が抑えられない
Alice配列で肩こりの発生を抑えることを目的としていましたが、思ったより肩こりの発生は抑えられませんでした。
結局肩が思ったより開かないので、HHKBでの肩をすぼめるから、Keychron Q8Proでちょっとだけ肩をすぼめるという微々たる変化だったため、根本的な解決にはならないことがわかりました。
結論、自分にはちょっと合わないなということになりました。
ハマる人にはハマると思うのですが、私はハマりませんでした。
使い続けるには厳しいなあ…。
候補その2:Keychron Q11
もう一つの候補はこちらでした。
こちらは分離型のキーボードです。
構造上、有線接続しかできないのですが、 Q8Proの時に有線で接続する準備は行なっていたので、有線でも問題ないと判断しました。
色は白が無く、黒色なのですが、まぁモニターが黒だから合わなくもないなと考えました。
おまけに分離しているキーボード同士を接続するケーブルを長くすればいくらでも距離を離して使えるので、肩を開くという条件にも合致する。
これも思い切って買ってみようと思ったのでした。
不満点その1:日本では高い
Keychronの製品を購入するにあたっての不満として、届くまで時間がかかりすぎるという点でした。
しかしQ11はすぐに使いたいし、また公式サイトから買って届くのを待つのは機会損失を生むと思いました(あとQ11にはQ8Proの時にもらったクーポンが適用できないというのもありました)。
日本国内で購入出来て、通販ではなく実際の店舗ですぐに買って持ち帰られる条件に合致するところを探した結果、あったのです。
ビックカメラです。
ちょうど在庫のある店舗に用事があったため、もともと購入する予定だったものと併せて一緒に思い切って購入しました。
クッソ高かったです。
値段以外で特段不満はない
というわけで使ってみています。
予想通り、肩はしっかりと開くので肩こりの発生は今のところありません。
また、Q8Proよりかは軽いしコンパクトになるため、持ち運びも苦になりません(ただ重いことには変わりないです)。
Q8Proの際に不満になっていたAlice配列での手首の角度問題も、このQ11は手首を垂直にして打てるので、特に違和感なくタイピングが可能です。
ただ、相変わらずEnterキーの上には¥キーがあるので、ここはちょっと不満かなと思っています。
実際に家ではもちろん、外出先でもMacBook Airに接続して使ってみましたが、やはり打ち心地と体勢の楽なのはいいなと思いました。
パームレストはかつてHHKBを尊師スタイルで使用する際に用意していた分離式のパームレストを流用しています。見た目はイマイチかも知れませんが、見た目だけが問題なので許容範囲内です。
尊師スタイルについては、こちらの記事に詳細がありますので、ぜひ併せてお読みください。
また、尊師スタイルを構築するにあたって必要な道具についても参考リンクを張っておきます。
興味がありましたら覗いてみましょう。
ただし前提条件はある
これらのキーボードを使うにあたり、注意すべき点はあります。
まずはタイピングにあたって、ホームポジションをマスターした人限定であるという点です。
正直人差し指だけでタイピングをしたり、ホームポジションがめちゃくちゃだったりすると、これらのキーボードのポテンシャルを充分に発揮できません。
ホームポジションをマスターしてこそのキーボードであることは念頭に置いておいてください。
というわけで、しばらくはKeychron Q11を使い続けようかなと思っています。
今後は左端に配置されているマクロキーや、左右の上部に配置されているノブの新たな使い道を思いついたら記事を書いて公開してみようと思います。
それでは失礼します。